教諭による体罰-部活動や体育の授業における危険性

 教諭による体罰は、体育系の部活動や体育の授業においてしばしば問題になっています。体罰については、かつて不登校の生徒を受け入れていた学校が体罰をともなった指導を行ったという事で問題になったこともありますが、一般の学校教育でも、たとえば2013年に発覚した大阪市の事例のように、広く体罰が行われている実態があり、多くの子どもが傷ついています。そもそも、体罰は、教諭側は「指導」と称していても、その実態は「虐待」に他なりません。そもそも、体罰の根拠とされている「教員が行う指導は全て正しい」という考え方は人権の観点から通用しません。(なお、2013年の体罰問題を契機に、ようやく、教諭による体罰もいじめの一種として定義付けられることになりました。)

 体罰の場合、よく問題になるのは体罰によって物理的にけがなどを負った場合です。しかし、体罰によって子どもが傷つくのは、負傷した場合のみとは限りません。日常から、けがが残らないほどであっても体罰が毎日のように重なれば、それがストレスとなってうつなどの精神的症状を引き起こす可能性もありますし、あるいは、ストレスに起因する内臓等の疾病に罹患して重篤な症状を引き起こすというケースも散見されます。

 証拠が残るようなけがを負った場合、証拠が残っているうちに病院の診断を受け、当該教諭に対して再発防止を要請することが大切です。証拠が残らないが明白に教諭の体罰に起因する精神的・身体的疾病が生じた場合は、体罰と疾病との関連の立証は難しくても、体罰以外に疾病の原因として思い当たる理由が無い場合は、やはり教諭に対して抗議する事が重要です。

教諭が指導法を改善しようとしない場合

 しかしながら、教諭が体罰を「指導」と称して開き直り、指導法を改善しない場合もあります。こうした場合、場合によっては警察などとも相談する事になると思いますが、それでも解決できない場合があります。

 いじめ問題と同様に、体罰の問題は教諭側が責任逃れや保身のために、事実関係を隠すようなことが後を絶ちません。また、「自立」という言葉を盾にして、体罰の事を親にたいして相談しないように脅す手法の教員もいることも体育会系ではしばしば見られます。そうしたなかで、教員側のいう「自立」は本当の意味の自立ではなく、教員側の言う事は聞かなくても良いということを家庭の中で確認するとともに、困ったときは親と子が助け合うということを家庭の中で再確認していき、その中で、親がしっかりと子どもの話に耳を傾けたり相談相手になったりしていくことが子どもの心の支えになるものと思われます。

 また、学校制度そのものが、学校の教員と争いになった場合に進学等に影響が出るなど、いわば徒弟制度のような「絶対服従」の関係になりがちな制度なのですが、これが体罰の温床となっています。教員に対して改善を求める上で難しい問題がそこにはあります。しかし、生命に危険が及ぶような事があったり、不登校に陥った場合、フリースクールやサポート校に転校する事も検討したほうがよい場合もあると思います。ただし、その際、フリースクール選びはより慎重さが求められます。フリースクールの中には、残念な事に「根性をなおす」などの誤った考え方で運営されている組織もあるので、体罰で傷ついた子どもをそのようなフリースクールに入学させれば、より子どもを追い詰めて取り返しのつかない結果になる可能性が大きくなります。体罰が原因の場合、フリースクールを検討するならそのフリースクールの方針を注意深く見ながら検討することがより大切になります。

【体罰問題に関する特集】
体育会系(部活動等)における体罰
進学校等の学習指導におけるしごきや体罰

(ただし、このサイトにあるものは医学的に正確な記述ではありません。個人の症状等については医師などに相談される事を強くお勧めします。)

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