いじめ問題における「出席停止」のメリットとデメリット【用語解説】

 いじめによる不登校が社会問題になっている中で、いじめっ子を出席停止にすることで、被害者をいじめから守ろうという動きがみられています。これは、安倍内閣(当時)が2006年頃に教育再生会議で打ち出した方針であり、2012年に深刻ないじめが報道されたときにも議論になりました。

「出席停止」のメリットとデメリット

 出席停止のメリットとしては、被害者が不登校に陥っている場合、加害者を一時的に隔離する事で、被害者が学校に登校できるような状況を作る事ができるという点です。単純な構造のいじめで、かつ、加害生徒が素直に指導に従い、仕返しなども行わないというケースの場合なら、「出席停止」も有効な手段とはなりえるでしょう。

 しかし、現実のいじめ問題はそう簡単な問題ではありません。その一方で、いじめの構造が見えにくくなっている問題もあります。主犯格の生徒ではなく、主犯格に命令されていじめ行為を実行した加害者のみが出席停止となってしまい、主犯格の生徒によるいじめが発見されないケースも多く、そうした場合は、主犯格の生徒が大人に隠れていじめを続ける場合があります。

 また、学校の教師や教育委員会が、いじめを隠し続ける現状がある中で、出席停止の制度があったとしても結局は活用されないのではないかという問題点があります。なぜなら、この制度を設けたとしても、学校や教育委員会の隠ぺい体質にメスを入れているわけではなく、この隠ぺい体質が改善されない限りは、「いじめは存在しないから出席停止制度は活用しない」と主張するだけで結局は制度が活用されないのではないかという問題点も解決されているわけではありません。

備考:出席停止(2)もお読みください

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