いじめ問題における「出席停止」のメリットとデメリット(続き)【用語解説】

 いじめ問題で、加害者にたいして「出席停止」を活用し、被害者をいじめから守ろうという考え方が提唱されています。しかし、実際に、出席停止の制度にはデメリットもあり、実際には被害者を守る事ができない制度なのではないかという事も考えていかなければなりません。

「出席停止」は十分な処方箋ではない

備考:出席停止(1)の続きの説明です。

 そもそも、出席停止の制度は、加害者への懲罰の意味合いが強くなる制度です。今のいじめは深刻なもので、いじめ被害者にいわれなき罪を着せ、被害者を「加害者」に仕立て上げ、被害者が「加害者」とみなされて何らかの懲罰を受けるように追い込もうという形の「冤罪型」のいじめも実際にあります。学校という閉鎖的な空間の中で、人間関係だけが複雑になれば、加害者が複数で話をでっちあげって「冤罪」をつくりあげるような状況もあるようです。

 現代のいじめでは、そうした複雑な形のいじめも生じているという点に留意すべきです。そして、そうした「冤罪型」のいじめに対しては、出席停止の制度は抑止力とはなりえません。

 出席停止の制度は、不登校の人が不登校状態から抜け出すための十分な処方箋とはいえず、学校の教師の資質など様々な要素が良い方向に働かなければ、よい制度とはなりにくいとも考えられます。学校や教育委員会がいじめを隠さずに対応し、出席停止の制度を学校がよい方向に活用するということが必要だとはいえ、そうしたことが期待できない現状では、不登校の子どもを守る事ができるのは保護者だけなのだということを改めて自覚しなければならない事だと思います。学校側の対応がよくない場合は、他の学校に転校したり、フリースクールなどに通わせるほうが現実的な方法だといわざるを得ないのが現状です。

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